―――Project“AGG”―――

プラン11
『アッグ・対Iフィールド突撃仕様』
開発者:迎 夜魔スウィネン社技術開発部・開発課・独立リファインルーム(略称:ドリル)


 アナハイム社からもたらされたGP−3デンドロビウムと呼ばれる機体にIフィールドが搭載されているとの情報はデラーズフリート内部に衝撃をもたらした。
 ソロモンの守護神とまで呼ばれたビグザムに端を発するビーム撹乱の技術。
 この事実を知ったソロモンの悪夢、アナベル・ガトーは『どこまで我々を辱めれば気が済むのか!!』と激怒したという。
 当時デラーズフリート内に残留していたスウィネン社の技術士官はそのガトーの言を伝え聞き、この機体の開発計画に着手したとされている。
『豊富な資材と時間を費やして名機を造るのは連邦にでも出来ること!
 しかし、限り在る資材と限り在る時間の中でどれだけ高性能の機体を造ることが出来るかが我々スペースノイド技術者の腕の見せ所である!!』

 と、他の技術者一同を煽動……もとい、説得し、デラーズフリート内の資材倉庫の片隅で埃を被っていたアッグをベースに急ピッチで開発が開始された。

 Iフィールド装備がなされ、おまけに高機動であるという情報のGP−3に対抗するために、まず宇宙空間内においての高機動を確保するべく脚部を取り払い、更にドラッツェのブースターを流用することでコストと時間を削減。
 ビーム兵装を無効とするIフィールドに対抗するため、武装は全て実弾兵装と決定。その為に肩部の円盤カッターを取り外し、それぞれ6連装のミサイルポッドを取り付け、合計12門のミサイルポッドが取り付けられた。
 その際、ミサイルにも改良を施し、発射されるのは通常のミサイルではなく、その弾頭部分をドリルに変更。爆発、破片による機体の破壊を狙わず、大質量を高速で直接相手に叩き込む事を意図した兵装となった。
 その際、変更された弾頭部分のドリルが長大である為に、ミサイルポッド内部に全て収まりきらず、ポッド前面から12本のドリルが顔をのぞかせる事となった。これを見たミサイルポッド改造担当者は『これでこそアッグ』と満面の笑みを浮かべたという。
 腕部のドリルにも改造が施された。先ず回転機構を取り外し、かわりにシリンダー構造と炸薬によるゼロ距離からのドリルの打ち込み、いわゆるパイルバンカーへと変更された。
 レーザートーチに関しては技術陣の間でも意見が分かれるところであった。
『取り外して少しでも軽くするべきだ』
『レーザーならIフィールドに影響されない』
『レーザートーチ無くして何がアッグか!』
等々。
 結局、大した軽量化にもならず、ゼロ距離で取り付いたときに何かの役には立つだろうとの意見に落ち着きレーザートーチはそのまま残された。

 星の屑作戦がいよいよ大詰めとなった際、『アッグ・対Iフィールド突撃仕様』をギリギリで完成させた技術者一同がガトーを工廠へと招き、『この機体でGP−3に対する我々の怒り、思い知らせて下さい』と熱く訴えたとされているが、ガトーはひきつった顔でこう言ったという。
『諸君らの好意は有り難いが、今回の作戦で用いる機体は既にアクシズから届いている。諸君等のその思い、私は胸に刻んで戦場に赴こう』と。

 結局この『アッグ・対Iフィールド突撃仕様』は機体を失ったパイロットの代替機として出撃したとの記録がある。
 実際、仇敵である筈のGP−3とも接敵したらしいが、GP−3デンドロビウムが実はMSではなく、あーゆーとんでもない代物だったために近寄ることもできずにミサイルの弾幕によって撃墜されたらしい。

 余談ながら、この時のドリルミサイルポッドの設計開発思想が後世のショットランサー開発のきっかけとなったトカならなかったトカ。
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開発主任:GOZAより
 肩から覗く12本の小ドリル…ドズル閣下もびっくり(笑)な出来ですね!
 結末がアレだと言うのがまた涙をそそりますな…なんとも幻の名機的で…。
 是非パイルバンカーとゲッター2のドリルを装備したい所です(笑)!



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