―――Project“AGG”―――


プラン17
『ハイ・アッグ』
開発者:ハンス・ノルトマン技術中尉(敬語略)



撮影日時、場所、撮影者不明、

【解説】
 ハンス・ノルトマン技術中尉の証言

 戦後、そのような名で呼称された機種は、正確にはどの機体のことかは存じません。
 しかし、戦中、私が開発に当たり、ジャブロー戦における出動機体の頭数合わせとして送り出した機があります。
 ご存じの通り、敗戦後のジオンは戦時記録の抹消と廃棄とに躍起になり、かなりの資料が失われました。今回お送りした画像は、連邦と共同の戦後処理のなか、連邦の将校より提供されたものです。ジャブロー戦時、連邦の戦車の車載カメラで撮影し、高濃度ミノフスキー粒子散布の状況の中で送受信された画像なのだそうです。そのためにかなりノイズの多い画像ではありますが、確かに私がいじった機の一体が写っています。

 基本構造はアッグの耐圧コックピットを利用しています。あの球体ボディは内部の耐圧球体コックピットに由来します。
 もともと大地や岩盤の掘削をまるで知らない宇宙育ちの技術官が想像力だけをたくましくして建造してしまったのがアッグです。両腕のドリルは岩盤に突き立てたら最後、それだけで機が破壊されます。肩部カッターと呼ばれる構造も、とても土砂をかき出す能力はありません。土砂が舞う場所で吸引・排気型のホバーは愚の骨頂です。
 したがって、使えない部を廃止し、新たに武装と移動能力とを装備する方向で私は建造を行いました。
 まず、頭部にミサイル・ランチャーを設置。ズゴックで使われた頭部内蔵型ランチャーを水平方向にマウントしました。肩部カッターが入っていたスリットは、ザクなどの脚部ミサイル・ランチャーがほぼ入る寸法だったため、ランチャーの外壁を研磨し直すことでマウントできました。これらのミサイルのために、アッグのトレードマークのひとつであった巨大なモノアイ・カメラは廃止され、通常型のカメラに換装されています。
 また、両腕のドリルの代わりに、まだ開発途中であった次期水中モビルスーツの武装腕が装備されました。のちのハイ・ゴッグのテスト・ベットになったわけです。フレキシブル式の長い腕も試験的な装備でした。
 球体ボディから突出した胴には脚部駆動ユニットを入れ、かつ、サスペンションによる姿勢制御システムも入れました。
 脚部は、ゴッグやアッガイに共通する大腿部・脛部・足部の構造に変更しました。今回の画像でも大腿部が新たに建造されていたのが見えるかもしれません。足には通常の歩行装備と、アッガイのような推力ユニットの内蔵を行いました。また、背部ランドセルを強化し、ズゴックから転用した水中ユニットが装備されました。

 結果、完全な水陸両用モビルスーツとしてこのアッグは生まれ変わり、ハイ・アッグのニックネームもありました。

 戦果についてはまたの機会に語りましょう。何しろ、報告を受ける前に私は連邦に捕まってしまったので、実際の詳細については連邦側の資料を見せられるまで知らなかったものですから……。
 また、連邦側はこの機を拿捕しており、まだ保管してあるとのことなので、また詳しい資料をお見せできるかもしれません。

 以上、ハンス・ノルトマン技術中尉でありました。

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開発主任:GOZAより

 ノルトマン技術中尉の証言は信頼できます。
 私も当時、このようなアッグの噂を聞いたことがあります…整備統合計画におけるMSMの腕を装備したアッグ…それは細部までいろいろな改良が加えられ、加州基地でもかなり完成度が高かった、と。
 当時私も複数の機体の改良や改造に追われ、その姿を見る事はありませんでしたが。
 このアッグを作ったチームは、最初にザクのフットミサイルがカッターの部分にピッタリ合うと発見したチームであり、フットミサイルの水密化にも成功したチームでした…これは素晴らしい。
 この写真では判り難いですが、新造された脚部やズゴックから転用した背部の詳しい画像が見たいですね。
 特にこの機体最大の特徴である、開発途中であった次期水中モビルスーツの武装腕はもっと詳しく見たい所です…椀部は蛇腹パーツだったと聞きますが、それをどう水密化し可動させたのか…ここが最も興味ありますね。
 それに胴体部はモノアイを通常の物とし、ザク系に似た排気ダクトの口(?)があったとこの写真からは見えます…ここももっと詳しく見たいですね!

 その完成度の為、噂ではマッド・アングラー隊に数合わせとして配備されたとか、ジャブロー攻略隊とは別の水中艦隊に引き抜かれたとかいろいろ聞きますが、本当の所は私も判りません。
 完成度の高かったアッグの中の一つ…製造中や3面写真、細部の繊細な画像等、今後の映像の発見が待遠しいです。


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