タイトル:『RX−75H:ガンタンク重装型“ブラウニー”』
[旧キット&HGUC:スケール 1/144]
[製作過程]


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【製作】
バックパック  今回の山場と言える工作。
 二連装じゃ寂しいので四連装に、四連装にしただけじゃ肩に入りそうに無かったので給弾装置と可動体を兼ねて大型のバックパックみたいなものを組み、そこから砲身を延ばしました。
 砲身はHGUCのを見本に、旧キットは根元だけ使って砲身はタミヤの透明筒、バックパックは基本箱組みで、本体ボディから生えているプラ棒でポリキャップ接続され可動します。
 肩の中に入っているシリンダーは可動の追従はしますが、肩の中で固定はしていない思いっきりダミーです(笑)。
 後は市販パーツやキットのパーツでそれっぽくデコレート。
 本当は射撃時に後進するように作りたかったのですが、作ってる時すっかり忘れてた……。
腕部  右腕は二連装回転機関砲、市販パーツとプラ棒等で砲身を作り、本体はプラ板で箱組み……と、バックパックと同じパターン、市販パーツなどでのディティールも一緒です。
 左腕はUGグラフティ連邦セットのレールガン、08小隊HGのGMスナイパーの大型有線誘導ミサイルパック×2、HGUCガンキャノンのスプレッドミサイルポッドを根元でプラ棒等で作って一まとめにしました。
 なんかもう、小学校低学年が喜びそうな武器たくさん盛りです(笑)。
胴体部  コクピットである頭部(脱出どうするんだろうこのコクピット)っポイ物を胸の中に設置……そうしないと砲身にぶつかります(笑)。
 真ん中をくり貫いて、後ろ側をプラ板で塞いでます。
 また、上半身を旋回できるように腹部のコアブロックは排除、低身長化を図っています。
下半身  上半身を旋回させるには赤い部分の幅が足りないかとそこだけ5mm程幅増し。
 旋回させた時に上から見た腹部の隙間が気になったので、プラ板を入れ込んで切り込みをつけ、その中にエバグリーン社の斜め段差モールドのプラ板を入れディティールにしました。
 やっつけな仕事でしたが、旋回時にチラ見えしかしないのでまぁいいかと。
 赤い部分の脇も寂しかったので、ジャンクパーツからダグラムのなんかのキットのものと思われる円筒ミサイルポッドを発見し装着。
 クローラーの辺りは特に何もしてませんが、車体正面の丸い所に三連装機銃を設置しました。
塗装  ベース色の緑はブラックグリーン、腕等はミディアムブルー、後は黄色とか赤とか、それっぽくミニタリー色で。
 転輪はブラックで適当に塗ってはみ出しとかはウェザリングでごまかしてます(笑)。
 基本塗装が終わったら墨入れ、ドライブラシ、ウェザリングといつもの工程を経ています。
 特に土はタミヤの情景テクスチャーペイント(土 ダークアース)を使って汚し風に使いましたが、今見ると無限軌道の方向逆に考えてた……。
ベース  ベースは\100円店のたぶん自作用時計のフレーム、それに立ち上げを作って、ニスを塗って、紙粘土でベースを作って、わだちをつけて、色塗ってタミヤの情景テクスチャーペイント(土 ダークアース)を塗って、所々に草とか砂を蒔いて水溶き木工用ボンドで固定。
 それだけでは寂しかったので、FGザクのジャンクから腕だけ切り取って、開いた指はデザートザクを使用し、手の甲の装甲をプラ板で作り、色を塗ってちょっと錆錆にウェザリング。
 ディオラマと言うよりは飾り用のベースなのでこれだけの簡単ベースでした。

【設定】
 RX−75H、ガンタンク重装型“ブラウニー”と呼ばれるこのMSは、いわば官僚主義が生み出した遺児である。
 一年戦争当初、ジオン軍のMSの脅威に連邦軍でもMSを開発・量産する事になったのは周知の事実ではあるが、これは宇宙軍主導で行われており、戦争当時は主戦場が宇宙であったのだからこれは当然の事と考えられた。
 しかしジオン軍が地球へ降下し、また思った以上にMSの開発が各分野を巻き込んで大きな利権が発生すると知れた時、MSはジオン軍に対抗する兵器から、政治家・官僚・軍人らに利権をもたらす道具となったのだ。
 まず宇宙軍主導の『V作戦』に対して、陸軍が横槍を入れる。
 すなわち、現在の主戦場は地上なのであるから、MS開発の主導は陸軍に移すべきだというのだ。
 これはジャブローに篭る旧体制派――いわばジャブローのモグラ達――の多くが陸軍所属であり、まさに利権誘導に加え、当時宇宙軍は宇宙と言う活動場所がらスペースノイドとの交流も多く改革派が多く揃っていたのを危険視する派閥闘争に過ぎなかった。
 これによりあくまで宇宙戦用機として順調に進んでいたMS開発は、陸戦も考慮しなければならなくなり、当然宇宙と地上での仕様や使用方法が違うので設計は二転三転し、そしてどちらが開発を主導するかで政治闘争に進展するに至って、開発の現場に混乱を招き、開発は停滞した。
 その後も、ジオン軍が六〜七月に相次いで水中部隊を展開させると海軍が水中用MSを、それらを見て空軍も負けじと飛行MSの必要性をそれぞれ訴えるに至り、MS開発は官僚主義と利権という、内なる敵対によって完全に政治闘争の場となってしまった。
 このように歯止めが付かなかったのは、MS開発が巨大な利権を生み出すだけではなく、実際にジオン軍のMSに対抗できる戦力が必要であったのも事実であり、それは旧世代の兵器ではどうやっても対抗できなかった故にMSを巡る闘争は各派一歩も引かず、利権誘導以外にも旧来の兵器で十分対抗できると言うMS不要論派や、ジオン軍のMSのコピーではない新たな兵器を模索する派等の思想が絡み合い、ジオン軍との戦いが泥沼化して行くのを横目で見つつ同じように泥沼と化した。
 またMSに限らず従来の兵器も消耗しており、地球連邦政府としても予算は有限なのであった。
 宇宙でも地上でも海でも空でも、あらゆる戦場からMSの必要性が叫ばれる中、開発は頓挫。
 そしてそのしわ寄せは前線兵士達の血として払われ続けたのである。
 結局レビル将軍らの調整により、ある程度進んでいたMS開発データを各軍にも引渡し、予算を開発規模により折衝する事になったが、結果的に連邦軍初のMS、RX−75〜78はその完成が0079年七月まで延びたのである(その結果最終テストはさらに九月半ばにまで伸び、サイド7でジオン軍と交戦する事になる)。

 こうしてMS開発への横槍と予算の確保に成功した陸軍首脳部は、莫大な利権を得る事になったのである。
 彼らはそれで満足したのであるが、実際にMSの開発を行わなければ、開発予算は削減されてしまう。
 その為に連邦陸軍による地上戦用MS開発計画を始動したが、その実態は部下に丸投げある……彼らは兵士の命を守る兵器ではなく、数字として自分にもたらされる金額以外には興味が無かったのだ。
 それでもMSを開発するからにはジオン軍に必勝できるMSが必要とされる。
 利権や地位はあくまでジオンとの戦いに勝利した上でもたらされるのだ。
 そんな上層部に任されてやる気が出るような人間は居ない。
 それでも前線の兵士の血をこれ以上流さない為、ジオンとの戦争に勝つ為にと、地上戦用MS開発計画は立ち上げられた。
 この地上戦用MS開発計画は宇宙軍の『V計画』に対抗して『F(フェアリー)作戦』と呼ばれた。
 宇宙軍のMSデータは三種類、今で言う“RX-75 ガンタンク”“RX-77-1プロトガンキャノン”“RX-78-1プロトガンダム”であり、これの仕様を地上戦用に切り替える事で不必要な部分を削り、開発速度を上げる事になっていた。
 この地上戦用プロトガンダムが後の“ピクシー”であり、地上戦用プロトガンキャノンが“レッドキャップ”となり、一番完成度が高かった“ガンタンク”が、RX−75H ガンタンク重装型“ブラウニー”になるのである。

 “ガンタンク重装型”は開発中は“ブラウニー”という秘匿名称で呼ばれていた。
 まずガンタンクにあったコアブロックシステムは、機体の高額と製造工程が複雑化する為に削除。
 その他はほぼオリジナルと同じで、ガスタービンと熱核反応路の二つの動力を持つのも同じである。
 そして武装が貧弱として、強化が行われる事になった。
 当時存在したビッグトレー並みの武装は望み過ぎとは言え、その1/3〜1/2の火力が無いとインパクトが無く、MSを導入する必要性を感じさせられなかったのだ。
 結果、元は120mm低反動砲だった砲を165mm砲にして、装填装置と反動軽減装置を一体化したバックパックに四連装で装備し、火力は飛躍的に増大した。
 この165mmは連邦軍内部で自走砲として既に十分に配備されていた、いわば枯れた技術を流用した直射/曲射が可能なライフリング砲であり、砲の特性等は十分に掴みきっているので、その分開発時間を短縮する事ができた。
 また液体火薬を使用し、自動化と省スペース化に成功、本体及びバックパックで32発を搭載し、更なる砲撃を行う場合、専用の弾補給用ガンタンク(ベースの上に可動式のカーゴを載せた簡易型)を連結する事で多数の砲撃にも利用できるが、その場合移動できないがそれで良しとされた事から判るように、完全に自走砲の設計思想で作られている。
 本来は補助サーボ弾を使って射程をさらに延ばすことが出来るが、液体火薬を使う事でこれは不可能となったものの、そういう用途は元々ある自走砲に任せれば良く、あくまでMSの可能性を探る目的である“ブラウニー”には必要無いとされた。
 元々ミノフスキー粒子下では有視界戦を強いられる為、着弾観測を無線等で行う間接誘導を行う事ができず、必要以上の長射程は必要とされなかったのだ。
 MS的特長である腕も、武装を強化する事となる。
 これは単にオリジナルを超えたいと言う見栄から来ているといわれているが、一応は大型化した砲の為に運動性が犠牲になっており、それをカバーする為に遠・中・近のどのエリアもカバーする防御兵器が必要とされた為である。
 しかし砲の運用には、長距離砲撃用MSなので問題なしとして採用された事柄も多く、それならば攻撃を受ける前提で防御兵器を装備する事は矛盾している。
 その為、予算をかけるための方便や、宇宙軍に負けたくないと言う意地、そして単にハリネズミのように武装した事実が欲しいと言う幼児的な発想だと揶揄された。
 それでも装備した兵器は本物であり、侮れない攻撃力を発揮した。
 基本的に肘から先は交換できる為、ガンタンクと同じ四連装ポップミサイルも装備が可能である。
 “ブラウニー”の場合、右腕は二連装ガトリングガンが、左腕はロケットポッド、大型ミサイルコンテナ×2、レールガンが装備されている。
 この内、右腕の二連装ガトリングガンは近接防御やミサイル等の迎撃に使用するとされ、しかもそれを二連まとめる事で濃厚な弾幕を張れるようになっていた。
 左腕は本来マルチパーパスとなっており、四つの武装を選択して装備でき、数少ない配備機ではほとんどが上記の組み合わせになっていたが、中距離の支援砲撃の為にレールガンを二丁装備した場合や、面の制圧力を高める為にロケットポッドを四つ装備した場合もあったという。
 ちなみに開発期間を減らす為、これらの装備は既存の武装を流用しており、ロケットポッドはガンキャノン用のオプションを、大型ミサイルコンテナやレールガンは後にGMが装備する武装であり、これらのデータを早い段階から流用した模様である。


 こうして“ブラウニー”は強力な武装を備えたMSとして生まれたのである。
 しかし過度な重武装は機動力を悪化させ、十分な機動力を発揮する為には移動用の母艦が必要との試験結果が出、それであればビッグトレー等には元々十分な火力が装備されており、意味が無いのではないかとの意見が出されたが、母艦から数両展開させれば更なる火力増が見込まれたり、拠点防衛用であれば問題は無いとされた。
 それでも結局強力な武装がコスト高を呼び試験的に数両が作られただけで、結局はコアブロック等を省略して量産を容易にしたRX-75“量産型ガンタンク”や、より戦闘車両として再設計されたRMV-1“ガンタンクII”が採用され、時代のあだ花として忘れられていったのである。
 だが、この“ブラウニー”の内の一機が、ホワイトベース隊のダミー部隊として他に“ピクシー”、“レッドキャップ”と共にミノフスキークラフト実験艦に搭載されて運用され、ジオン軍を撹乱したのである。


※この文章はあくまで公式でもなんでも無い私的な妄想です。

【感想】
 楽しかった……お子様的なノリでとにかく武装をぶち込んだのが愉快愉快(笑)。
 当初は『ガンタンクをどこまで重武装に出来るか』という感じだったのが、そりゃぁもうびっちりと武装できました
 で、ともかく大砲は四本だ! 倍積めば凄いだろう!とかやって、出来上がったら『マクロスのデストロイドモンスターに似てる』と言われ、おお、言われてみれば! と手を打った次第です(笑)。
 最終的にベースも付けれたし、まぁ満足……ちょっと汚しで失敗したけど。
 ちなみに設定読めば判る通り、この“ブラウニー”は俺的V作戦のMSの一機、残りは“ピクシー”と“レッドキャップ”ですが……構想はあるものの、いつ完成できるやら。


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